大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

津地方裁判所 昭和54年(わ)31号 判決 1979年5月15日

本籍

三重県伊勢市岩淵一丁目五二四番地の四

住居

同市岩淵一丁目一六番一〇号

歯科医院手伝

山口由子

昭和六年三月一八日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官上田規世彦出席のうえ審理をして、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役五月及び罰金四〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、伊勢市岩淵一丁目一六番一〇号において歯科医師業を営む山口幸夫の妻で、その経理及び税務事務の全般を掌握していたものであるが、右幸夫の歯科医師業に関し所得税を免れようと企て、保険治療外の自由診療による収入の一部を除外して日計表を作成するなど不正の方法によりその所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五〇年一月一日から同年一二月三一日までの右山口幸夫の所得金額は三、三一七万七、二三七円で、これに対する所得税額は一、二六九万一、一〇〇円であるのに、同五一年三月一五日、伊勢市岩淵一丁目二番二四号所在伊勢税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、三四三万一、四八一円で、これに対する所得税額が二二九万七、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて正規の所得税額との差額一、〇三九万三、三〇〇円をほ脱し、

第二  同五一年一月一日から同年一二月三一日までの右山口幸夫の所得金額は四、七四三万九、〇六九円でこれに対する所得税額は二、〇九〇万九、〇〇〇円であるのに、同五二年三月一五日、右同税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二、一八〇万五、二一六円で、これに対する所得税額が五八五万九、九〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて正規の所得税額との差額一、五〇四万九、一〇〇円をほ脱し

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人の当公判廷における供述

一、第一回公判調書中被告人の供述部分

一、被告人の検察官に対する各供述調書及び大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、被告人作成の各上申書

一、伊勢税務署長作成の各証明書

一、的場秀文、服部光延作成の各査察官調査書

一、山口幸夫の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、山口幸夫作成の上申書

一、尾崎幸生、古布政子、青木佳崇の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、押収してある総勘定元帳二綴及び日計表二綴(昭和五四年押第一七号の一ないし四)

(法令の適用)

所得税法二三八条、二四四条一項(懲役刑及び罰金刑併科)、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(懲役刑につき判示第二の罪の刑に加重)、四八条二項、一八条、二五条一項

(裁判官 平野清)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例